【レビュー】Ritterorden【制作者向け】
体験版ということで、オープニング部分の批評。
中世ファンタジーだが、基本的にファンタジー要素はエリクサーぐらいしかない。良くも悪くも平凡な設定なので、ここに魅力を見いだすことは難しいだろう。(注1)
体験版のシナリオ全体から見ると、新しいキャラクターの登場やエリクサーの騎士が近くにいることが判明するシーンなど、多くのイベントがちりばめられていて飽きのこないストーリーになっている。
体験版における一番の見所はクリスタルの感情の揺れではないだろうか。今まで憎んできた騎士達(というよりは、戦争に自ら進んで従事している人々全般か)が実際に会ってみれば思っていたよりも優しい人達ばかりでどうすればいいのかよく分からない、というような戸惑いがよく表現されていた。物語の最後は急展開だったが、エリクサーの騎士が登場する場面で変に長い演出をせず、簡潔にすませていたのは好印象。展開のスピード感とエリクサーの騎士の正体が判明する驚きの二つがあった。
登場人物はみな個性ある面々であることだし(特に、クリスタルは意外とお茶目で面白い)、本編をプレイしたくなる、という点でも良シナリオだった。
(注1) 当然のことであるが、奇抜すぎる設定は理解しにくい。とっつきにくい。
・感情表現[フラッシュバック系]
Ritterorden 体験版の見所として取り上げたクリスタルの感情の揺れ。ゲームの一場面において、クリスタルが騎士のことはやはり嫌いだ、と思うシーンがあり、そこではフラッシュバックとやや似たような現象が描写されている。ノベルゲームは基本的に会話文主体でテンポ重視ということもあり、このような表現はこのゲームと同程度でも構わないだろうが、地の文主体の人なら感情の動きの一つとしてしっかり描写したいところだ。
記憶が思い出される描写のポイントは
(1)起点の有無:何か記憶を思い出す原因となるものがあったかどうか。
(2)思い出し方:フラッシュバックのように唐突かつ無意識に思い出すのか。それとも、意識しておだやかに思い出すのか。
(3)鮮明さ:どの程度の鮮明さで思い出すか。
といったところだろう。ここで一番問題になるのは(3)の鮮明さではないだろうか。シナリオ上登場人物達が鮮明に記憶を思い出している設定だったとしても、書き手が丁寧に描写しなければプレイヤーには全く伝わらないものである。シナリオライターの皆様には、シナリオ上その回想シーンではどこを丁寧に描写すればいいのか、力点を置くべきポイントはどこなのか踏まえた上で描写していただきたい。
[フラッシュバックについての説明 以下、wiki より抜粋]
フラッシュバック (flashback) とは、強いトラウマ体験(心的外傷)を受けた場合に、後になってその記憶が、突然かつ非常に鮮明に思い出されたり、同様に夢に見たりする現象。心的外傷後ストレス障害(PTSD)や急性ストレス障害に顕著である。
フラッシュバックという用語は過去に起こった記憶で、その記憶が無意識に思い出されかつそれが現実に起こっているかのような感覚が非常に激しいときに特に使われる。フラッシュバックが起きた場合には、必ずしも映像及び音が存在するとは限らない。記憶には様々な要素があるため、フラッシュバックは「恐怖」などといった感情や味覚、痛覚など、感覚の衝撃として発生し得る。
中世ファンタジーだが、基本的にファンタジー要素はエリクサーぐらいしかない。良くも悪くも平凡な設定なので、ここに魅力を見いだすことは難しいだろう。(注1)
体験版のシナリオ全体から見ると、新しいキャラクターの登場やエリクサーの騎士が近くにいることが判明するシーンなど、多くのイベントがちりばめられていて飽きのこないストーリーになっている。
体験版における一番の見所はクリスタルの感情の揺れではないだろうか。今まで憎んできた騎士達(というよりは、戦争に自ら進んで従事している人々全般か)が実際に会ってみれば思っていたよりも優しい人達ばかりでどうすればいいのかよく分からない、というような戸惑いがよく表現されていた。物語の最後は急展開だったが、エリクサーの騎士が登場する場面で変に長い演出をせず、簡潔にすませていたのは好印象。展開のスピード感とエリクサーの騎士の正体が判明する驚きの二つがあった。
登場人物はみな個性ある面々であることだし(特に、クリスタルは意外とお茶目で面白い)、本編をプレイしたくなる、という点でも良シナリオだった。
(注1) 当然のことであるが、奇抜すぎる設定は理解しにくい。とっつきにくい。
・感情表現[フラッシュバック系]
Ritterorden 体験版の見所として取り上げたクリスタルの感情の揺れ。ゲームの一場面において、クリスタルが騎士のことはやはり嫌いだ、と思うシーンがあり、そこではフラッシュバックとやや似たような現象が描写されている。ノベルゲームは基本的に会話文主体でテンポ重視ということもあり、このような表現はこのゲームと同程度でも構わないだろうが、地の文主体の人なら感情の動きの一つとしてしっかり描写したいところだ。
記憶が思い出される描写のポイントは
(1)起点の有無:何か記憶を思い出す原因となるものがあったかどうか。
(2)思い出し方:フラッシュバックのように唐突かつ無意識に思い出すのか。それとも、意識しておだやかに思い出すのか。
(3)鮮明さ:どの程度の鮮明さで思い出すか。
といったところだろう。ここで一番問題になるのは(3)の鮮明さではないだろうか。シナリオ上登場人物達が鮮明に記憶を思い出している設定だったとしても、書き手が丁寧に描写しなければプレイヤーには全く伝わらないものである。シナリオライターの皆様には、シナリオ上その回想シーンではどこを丁寧に描写すればいいのか、力点を置くべきポイントはどこなのか踏まえた上で描写していただきたい。
[フラッシュバックについての説明 以下、wiki より抜粋]
フラッシュバック (flashback) とは、強いトラウマ体験(心的外傷)を受けた場合に、後になってその記憶が、突然かつ非常に鮮明に思い出されたり、同様に夢に見たりする現象。心的外傷後ストレス障害(PTSD)や急性ストレス障害に顕著である。
フラッシュバックという用語は過去に起こった記憶で、その記憶が無意識に思い出されかつそれが現実に起こっているかのような感覚が非常に激しいときに特に使われる。フラッシュバックが起きた場合には、必ずしも映像及び音が存在するとは限らない。記憶には様々な要素があるため、フラッシュバックは「恐怖」などといった感情や味覚、痛覚など、感覚の衝撃として発生し得る。
【レビュー】LOOT【制作者向け】
典型的なノベルゲーム風の文章で、基本的に一文一文が短め。文章に飾り気はなく、シンプルさが推理要素とよくマッチしていた。登場人物の恐怖を描いたりする方面ではあまり強くない印象だったが、作品としてシナリオに要求されているポイントを的確に押さえており、作品全体の完成度を押し上げていた。素晴らしい。(このゲームにおいて最も重要な点はやはり『設定』だ。異能という凡庸な設定からいかに推理ものとしての魅力を引き出すかでシナリオの善し悪しが決まる。そして、その上でキャラクターの魅力等を描くことができればよい。要は一番大切なところを間違えるな、ということである)
設定について。推理+能力で、12種類能力がある。登場人物9人の中に能力者を殺すとその能力を簒奪できる【盗賊】能力者がいる。主人公の能力は【盗聴】能力。能力12種は地味なものが多く、ややインパクトに欠ける反面、推理ゲームとしてはベターなチョイスとなっている。伏線は豊富で、謎解き要素を含めて設定のレベルは高い。レビューサイトを回ると、登場人物は薄味だという声が多かったが、推理ものとしては一般的なラインではないだろうか。あまりにも強烈な個性をつけるとシナリオ上で問題を引き起こす(登場人物に行動原理と合わない行動をさせる羽目になる、等)可能性もある。
システム関係では、二枠表示のシステムがチャレンジ精神に溢れており、作り手の意欲を感じた。縦書き・横書きの関係上やや読みにくかったが、主人公の盗聴能力を表すものとして非常に優秀なシステムだった。
設定について。推理+能力で、12種類能力がある。登場人物9人の中に能力者を殺すとその能力を簒奪できる【盗賊】能力者がいる。主人公の能力は【盗聴】能力。能力12種は地味なものが多く、ややインパクトに欠ける反面、推理ゲームとしてはベターなチョイスとなっている。伏線は豊富で、謎解き要素を含めて設定のレベルは高い。レビューサイトを回ると、登場人物は薄味だという声が多かったが、推理ものとしては一般的なラインではないだろうか。あまりにも強烈な個性をつけるとシナリオ上で問題を引き起こす(登場人物に行動原理と合わない行動をさせる羽目になる、等)可能性もある。
システム関係では、二枠表示のシステムがチャレンジ精神に溢れており、作り手の意欲を感じた。縦書き・横書きの関係上やや読みにくかったが、主人公の盗聴能力を表すものとして非常に優秀なシステムだった。
【レビュー】フレンドスター 体験版【制作者向け】
フレンドスターのレビューです。といっても、欠点らしい欠点が見当たらないのであまり書くことがないですが。
強いて挙げるなら、文章を装飾しすぎじゃないか、ということでしょうか。
これは物語(体験版)の終盤、クライマックスの部分ですね。プレイヤーの涙を誘うシーンでしたが、比喩の類が多すぎたように思います。もう少しストレートに書いてもよかったのではないでしょうか。文章の装飾、特に隠喩が過剰だと、登場人物の心情がプレイヤー側に伝わりにくくなったり、場が白けてしまいます(筆力があれば心情を克明に描き出しながら文章に詩的な要素を組み込むことも可能ではないか、と思ったりもしますが)。
個人の嗜好によって意見が分かれるところですが、僕はそのように感じたので一応報告しておきます。今後のシナリオ執筆で参考にしていただければ、と思います。
しかし、普段の描写を思い起こすと、そこまで比喩を使ったりという印象はなかったので、表現の落差で少し面食らったのかもしれませんね。まあ、装飾云々についてはこれくらいにしておきます。
その他、伏線の張り方や日常シーンの描写については上々、といった感じでした。キャラクターは全て魅力的でしたし、伏線もきっちり回収されていて、文章に対する意識の高さを垣間見たような気がしました。さらなるクオリティーアップを目指してこれからも同人活動、頑張ってください。
以上でレビューを終わります。
強いて挙げるなら、文章を装飾しすぎじゃないか、ということでしょうか。
これは物語(体験版)の終盤、クライマックスの部分ですね。プレイヤーの涙を誘うシーンでしたが、比喩の類が多すぎたように思います。もう少しストレートに書いてもよかったのではないでしょうか。文章の装飾、特に隠喩が過剰だと、登場人物の心情がプレイヤー側に伝わりにくくなったり、場が白けてしまいます(筆力があれば心情を克明に描き出しながら文章に詩的な要素を組み込むことも可能ではないか、と思ったりもしますが)。
個人の嗜好によって意見が分かれるところですが、僕はそのように感じたので一応報告しておきます。今後のシナリオ執筆で参考にしていただければ、と思います。
しかし、普段の描写を思い起こすと、そこまで比喩を使ったりという印象はなかったので、表現の落差で少し面食らったのかもしれませんね。まあ、装飾云々についてはこれくらいにしておきます。
その他、伏線の張り方や日常シーンの描写については上々、といった感じでした。キャラクターは全て魅力的でしたし、伏線もきっちり回収されていて、文章に対する意識の高さを垣間見たような気がしました。さらなるクオリティーアップを目指してこれからも同人活動、頑張ってください。
以上でレビューを終わります。
【感想】フレンドスター 体験版【一般向け】
ibe softのノベルゲーム『フレンドスター』の体験版感想です。
感想:主人公が昔住んでいた街に戻ってきて、幼なじみ達と学校生活を送っていく話。オリジナルのノベルゲーム? 全体的に良い仕上がりのノベルゲームでした。なんといっても、雰囲気があります。爽やかな色合いのメッセージウィンドウを始めとして、通読後はカラフルで鮮やかな印象が残る絵やシナリオ。それでいて、シリアスな場面では重くのしかかるような暗さ・重みがしっかりと表現されていました。特に文句のつけるところのない作品ですね。後は製品版でどう話が展開していくのか、といった感じでした。
また、今回は体験版でしたが、体験版終了時点である程度話が完結しており、プレイ後に悶々とすることがなかったです。
・フレンドスター

18禁ノベルゲーム
ジャンル:オリジナル
通販:現状なし(11.11.28時点)
・ibe soft

↑ホームページ
感想:主人公が昔住んでいた街に戻ってきて、幼なじみ達と学校生活を送っていく話。オリジナルのノベルゲーム? 全体的に良い仕上がりのノベルゲームでした。なんといっても、雰囲気があります。爽やかな色合いのメッセージウィンドウを始めとして、通読後はカラフルで鮮やかな印象が残る絵やシナリオ。それでいて、シリアスな場面では重くのしかかるような暗さ・重みがしっかりと表現されていました。特に文句のつけるところのない作品ですね。後は製品版でどう話が展開していくのか、といった感じでした。
また、今回は体験版でしたが、体験版終了時点である程度話が完結しており、プレイ後に悶々とすることがなかったです。
・フレンドスター

18禁ノベルゲーム
ジャンル:オリジナル
通販:現状なし(11.11.28時点)
・ibe soft

↑ホームページ
【感想】そら色ノート 体験版【一般向け】
サークル『etude』さんの
そら色ノート
の感想です。体験版の感想となっております。
感想:病院を舞台とした小説風ADV。主人公の橘ソラが入院してきたところからゲームが始まるが、大半のシーンはライトな雰囲気であり、とっつきにくさは感じなかった。しかし、途中何か所かで入るシリアスなシーンでは主人公の心情が上手く表現されており、通常の楽しげなシーンと対照的に、背筋にうすら寒いものが走るような、重苦しい雰囲気が展開されていた。通常とシリアスなシーンで落差があってよかったと思う。プレイ時間は未計測だが、そこそこの分量はあった。立ち絵はなく背景のみ。ただ、残念なのは文字サイズが若干小さく、ちょっと目が疲れることだろうか。フォントは『MS P明朝』……文字とか気を使ったっぽい、かな?
etude

ホームページ
・そら色ノート
全年齢対象ノベルゲーム
ジャンル:オリジナル
そら色ノート
の感想です。体験版の感想となっております。
感想:病院を舞台とした小説風ADV。主人公の橘ソラが入院してきたところからゲームが始まるが、大半のシーンはライトな雰囲気であり、とっつきにくさは感じなかった。しかし、途中何か所かで入るシリアスなシーンでは主人公の心情が上手く表現されており、通常の楽しげなシーンと対照的に、背筋にうすら寒いものが走るような、重苦しい雰囲気が展開されていた。通常とシリアスなシーンで落差があってよかったと思う。プレイ時間は未計測だが、そこそこの分量はあった。立ち絵はなく背景のみ。ただ、残念なのは文字サイズが若干小さく、ちょっと目が疲れることだろうか。フォントは『MS P明朝』……文字とか気を使ったっぽい、かな?
etude

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全年齢対象ノベルゲーム
ジャンル:オリジナル